知っておきたい!対処方法
~脳梗塞のリハビリテーション~

脳梗塞のリハビリテーションのやり方

新しいリハビリテーションにより機能の回復も期待できるように

脳梗塞のリハビリテーション編

(2)急性期のリハビリテーション

リハビリテーションをいつ始めるかは患者さんの状態により決められますが、一般的には、発症から24~48時間以内に寝返りをし、続いて、座る訓練(座位)やセルフケアなどが始められます。ただし誰でも同じというわけではなく、例えば、昏睡や神経徴候の進行、クモ膜下出血、脳内出血や重度の起立性低血圧、急性心筋梗塞などの持病がある場合には、リハビリテーションをすることで逆に悪化する可能性があるので注意する必要があります。

ちなみに、入院後72時間以内にリハビリテーションを開始することで、体幹機能を良好に保つことができるのはもちろん、機能が良好となり、再発リスクも抑えられ、かつADL(日常生活動作)の退院時到達レベルを犠牲にせずに入院期間が短縮されます。さらに、退院時の歩行状態が良くなり、その後の機能予後も良い傾向がみられるという報告があります。

こうしたことから現在は、脳梗塞はもちろん、各種の疾病で、十分なリスク管理をしながら、廃用症候群を予防し、早期のADL向上と社会復帰を図るために、できるだけ発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められるようになっています。

リハビリテーションの図
具体的なリハビリテーションのやり方ですが、まずベッドの上で手足を動かします。そして、床ずれを防ぐ目的で、自分の力で身体の向きを変える訓練をします。また、関節が固まってしまわないように手足を正しい位置に保つ訓練などが行われます。また、それらと並行して、理学療法士などによって麻痺している側の関節を曲げたり伸ばしたりする訓練などが行われます。

それらに続いて、早期に立つ(立位)や装具を用いた早期歩行訓練、摂食・嚥下訓練、セルフケア訓練なども、急性期のリハビリテーションになります。



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脳梗塞のリハビリテーション編
― 脳梗塞のリハビリテーションのやり方―

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監修

正門 由久 氏

正門 由久 氏

<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授

昭和31年生まれ

昭和57年慶應義塾大学医学部卒業
リハビリテーション医学会専門医、
指導医、認定臨床医
日本臨床神経生理学会認定医
(神経伝導・筋電図、脳波)
米国神経筋電気診断医学会
(専門医、正会員)