知っておきたい!対処方法~脳卒中編~

住宅等の住まい支援

脳卒中からの退院後は上手に専門家の意見を取り入れながら進めていきましょう。任せきりでも、独断だけでも良い支援は実現しません。

(4)家庭のなかでの役割を見つける

退院した患者さんのなかには、家に帰ったものの居室に篭もりきりになり、果ては寝たきりになって褥瘡をつくったり、あるいはうつ状態が生じたり、といったことが少なくありません。
家族が過度に「病人だから」と気遣ってしまうと、かえって日常生活への回帰や社会復帰を遅らせかねません。仮に元の状態に戻ることが難しいとしても、社会生活を送ることができる――そう判断しているからこそ、退院・居宅復帰を勧めているのですから、本人がどのようなADLをもっているのかを見据えつつ、家庭のなかで役割を見つけてあげることも家族にできる重要な支援の一つです。

維持期リハビリテーションの項でも述べたように、リハビリテーションは「治す」「症状を改善する」だけでなく、「障害を抱えながらも生活していくための必要な戦略を練る」という側面を持ちます。「歩行」をとってみても、ただ歩くことだけが目的ではなく、何のための歩行かという目的を明確にする。「歩行」はあくまで手段であって、目的ではありません。たとえば自力で庭掃除をするため、といったことでもいいでしょう。何のための歩行訓練なのか、本人・家族が明確な目的意識を持つことで、リハビリテーションの意義はまったく違ったものになってくるし、リハビリテーションへの意欲も向上します。

日常生活を送るには専門家の判断による適切な介助が求められますが、生活のなかでの目標や家庭のなかでの役割を見つけ、付与するのは、ほかならぬ本人、ご家族なのです。

脳卒中編 ― 住宅等の住まい支援 ―

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宮崎陽夫氏

理学療法士
医療法人社団誠馨会総泉病院リハビリテーション部部長

介護支援専門員
福祉住環境コーディネーター2級
3学会合同呼吸療法認定士